ホームページの表示速度が企業に与える影響
企業のホームページが重い(表示が遅い)状態は、ビジネスに深刻な影響を及ぼします。少し古い記事になりますが、2006年のAmazonの調査によると、ページ表示が0.1秒遅くなるだけで売上が1%減少することが報告されています。これを現在の日本Amazonの規模で考えると、0.1秒の遅延により、ここ最近のレートの153円で考えると、400億円以上もの売上損失につながる可能性があります。
私たちの日常でも、ページの表示が遅いサイトを開いた時に、すぐに「戻る」ボタンを押した経験があるのではないでしょうか。この行動は、ビジネスにおいて以下のような具体的な損失として現れます
- 直帰率の上昇:表示速度が1秒から3秒に落ちると、直帰率が32%上昇
- 売上の減少:ページ表示時間が遅くなるにつれてコンバージョン率が低下
- 検索順位の低下:アクセスやコンバージョンの低下からGoogleの検索アルゴリズムで評価が下がる
ホームページが重くなる主な原因
画像の最適化不足
多くの企業サイトでよく見られる原因が、画像の最適化不足です。具体的には
- スマートフォンで撮影した高解像度画像をそのまま使用
- 実際の表示サイズより大きな画像データの使用
- 不適切な画像フォーマットの選択
特にスマートフォン向けのサイトで、印刷用の高解像度画像を使用しているケースが多く見られます。これにより、文章が表示された後に画像が遅れて表示される現象が発生します。
サーバー環境の問題
多くの中小企業が利用している共用レンタルサーバーには、以下のような制限があります
- 複数のサイトで回線を共有するため、混雑時に表示速度が低下
- 同じサーバー内の他サイトの影響を受ける
- アクセス集中時に一時的なサービス制限が発生する可能性
非効率なプログラム
プロフェッショナルが作成したサイトでも、以下のような問題が発生することがあります。
- 不要なプログラムの読み込み
- 最適化されていないコード
- 過剰な演出効果やアニメーション
これらは業者に知識が無いのではなく、結果として綺麗で派手なホームページがクライアントである企業が喜ぶため、ホームページの重さを犠牲にして見栄えや機能を重視して作った結果です。
もちろんすべての業者がそうではありませんが、そうした考えで作成される業者もあるという話になります。
具体的な改善方法
画像の最適化
必要以上に大きな画像を使わない。元の画像が大きい場合には小さくする。
適切な種類の画像を使う。jpeg や png、gifや 最近は WebPというフォーマットがありますが、それぞれに得意不得意があります。画質を削っても見た目に影響ない場所や、商品写真等の美しく見せなければならない場所。それらを適切に扱うことで最適化を行います。
様々なサイトで画像圧縮ツールが提供されていますので、それらを用いるのも一つの手です。
遅延読み込みの実装
これは、少し技術的な対応が必要になります。良く、下にスクロールさせるとはじめて画像が遅れて読み込まれるサイトを見たことはないですか?あれが遅延読み込みです。表示する必要があるまでは読み込まずに、必要になってから読み込むことにより、最初の表示を早くする効果があります。
CDNの活用
CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)は、多くのサーバーに一部の画像やプログラムなどを分散して置いておき、サイトのアクセスした人は速いサーバーからそれらの画像やプログラムを表示することで様々な恩恵を得られる仕組みです。大企業は多く導入していますが、専門的な知識が必要となる箇所も多く中小企業では一部にとどまっています。最近はレンタルサーバーの業者がサービスとして提供しているところもありますが性能には差があります。
このCDN導入することで以下のような改善が期待できます。
- アクセスが集中した時にも、ホームページが重くなりにくい。
- 様々な地域のサーバーに配置されるので、導入前よりも高速で表示されるようになる
- キャッシュという一度読み込むとすぐに読み込めるような仕組みがあるので、この効果で、ホームページが高速で表示されるようになる。
また、CDNは様々な企業が提供されていますが、金融関係にも使われる Cloudflare社のCDN等は、ハッキングなどの不正なアクセスにも対応する機能が備わっているものもあります。
プログラムの最適化
これは、専門的な部分が多く存在してきますが、すぐにできることも存在します。
それは”更新”です。あなたのサイト管理画面のメニューで、更新の横に数字がありませんか?
更新をすることで、Wordpressの中で使われているプラグインと呼ばれる部分のプログラムがより最適化されます。しかし、注意も必要です。更新することで、サーバーが最新のプログラムに対応できなかったり、見た目が変わって表示が崩れたりすることもあります。
自身で行う場合にはしっかりとバックアップを取ってから更新するようにしましょう。
今すぐできること
現状把握
まずは現状把握をしてみましょう。Google社が無料でとても優れているツールを提供しています。
このサイトに自社のアドレスを入れると、ページの表示スピードや改善点が細かく出てきます。これらを一つ一つ対応していくだけでも表示速度が上がります。
専門家への相談
Google PageSpeed Insightsで見てみると、プログラムの最適化等、自分の手に負えない項目も出てくるかと思います。それらは専門家に相談しましょう。
もし、デザイン的にもスマホでは見にくかったり、今の事業内容や方向性と違う場合にはリニューアルを考慮しても良いかもしれません。最初から表示速度にも注目して作成されたホームページは、そうではないホームページに比べてかなり差がでます。
継続的な監視
定期的に表示速度は先の Google PageSpeed Insights で確認するようにしましょう。Wordpressのバージョンアップだったり、更新した記事だったりがボトルネックとなって、最初は良いスコアだったのにいつの間にか低下していたなんてこともあります。
また、更新担当者が入れ替わり、引き継ぎがなされておらず大きな画像が次々とアップされていたなんていう話しは良く聞く”あるある”です。
また、アクセス解析も重要です。特に入口と出口はとても重要です。どこのページでユーザーが入ってきて離脱しているのか?こうしたことがわかるツールを導入することが大事です。アクセスを増やすには、実はプロがつくって納品したホームページの品質以上に、こうした解析と対策の方が重要であり、伸びる可能性があります。
ホームページをリニューアルしたのにアクセスが伸びないなんて話は良くある話しですが、こうした分析と対策不足から来ることが原因なんていうのも良くある話しだったりするのです。
また、これは大企業以外はあまり行わないのですが、ユーザーからフィードバックをもらうことも重要です。従業員だけではなくお客様からもぜひ声を集めてみてください。とても綺麗にアクセスしやすく作ったつもりのページがユーザーからは非常にアクセスしづらい、ボタンが押しづらいなんてことも結構ある話しです。
まとめ
ホームページの表示速度改善は、一時的な対応ではなく、継続的な取り組みが必要です。特に中小企業では、技術的な知識不足や人材不足により、適切な対応が取れていないケースが多く見られます。
表示速度の改善は、売上向上やブランドイメージの向上に直結する重要な投資です。経営者として、この問題を放置せず、専門家のサポートを受けながら、計画的に改善を進めていくことが推奨されます。
専門家による支援が必要な場合は、ぜひ fukurinoにご相談ください。豊富な経験と専門知識を活かし、お客様のホームページの改善をサポートいたします。